重要なお知らせ
2025年8月に配信されたWindows 11の更新プログラム(KB5063878)を適用後、特定の操作で主にSSDが突然認識されなくなるという深刻な不具合が報告されています。大切なデータを守るために、この記事の内容を必ずご確認ください。
この記事のポイント
- Windows 11の更新プログラム「KB5063878」でSSD消失やストリーミングアプリの不具合が発生
- SSDの問題は物理故障ではなく論理破損。慌てて初期化せず、まずはデータ救出を試みること
- 最も効果的な対策は、原因となっている更新プログラムをアンインストールすること
- Microsoftから近いうちに問題を修正する新しい更新プログラムが配信される見込み
不具合の概要:アップデートが引き起こす複数の問題
ことの発端は、2025年8月12日に配信されたWindows 11 24H2向けのセキュリティ更新プログラム「KB5063878」です。このアップデートを適用したPCで、複数の問題が確認されています。
1. ストレージ(主にSSD)の消失問題
特定の条件が重なると、主にSSDのデータ構造が論理的に破損し、OSからアクセスできなくなります。当初HDDへの影響も懸念されましたが、現在のところ報告はSSDに集中しています。
Microsoftはこの問題を認識し、調査中であるとコメントしています。一方で、SSDの主要コントローラーメーカーであるPhisonは、自社での広範なテスト(4,500時間以上)ではこの問題を再現できなかったと公式に発表しており、原因の特定には至っていない複雑な状況です。
2. ストリーミングアプリの不具合
さらに、このアップデートはストレージの問題だけでなく、OBSやNDI Toolsといったストリーミングアプリで映像や音声が途切れたり遅延したりするという、別の不具合も報告されています。
どんなときにSSDの問題が起きる?
この不具合は誰にでも起きるわけではなく、以下の「完璧な嵐」とも言える条件が重なったときに発生する可能性が高まります。
- ドライブの空き容量が少ない時: 使用率が60%を超えている(=空きが40%未満)
- 大容量のデータを書き込む時: 約50GB以上のファイルを一度に移動・コピーする
- 具体的なシーン:
- 大規模なPCゲーム(Cyberpunk 2077など)のインストールやアップデート
- 数十GBの動画ファイルの編集・保存
- サイズの大きな圧縮ファイルの展開
特に、Phison製のコントローラーを搭載したSSD(中でもDRAMキャッシュを持たないモデル)での報告が目立ちますが、他のコントローラーでも発生する可能性が指摘されており、油断はできません。
重要な理解:物理故障ではない
「SSDが破壊された」という声もありますが、これは物理的な故障ではありません。SSD内のデータ自体は無事なものの、そのデータへたどり着くための地図情報(パーティションテーブルなど)が壊れてしまった状態、とイメージしてください。そのため、慌てず正しく対処すれば、データを復旧できる可能性は十分にあります。
すぐ試せるステップ:原因の更新プログラムをアンインストールする
最も効果的で今すぐできる対策は、原因となっている更新プログラム「KB5063878」をPCからアンインストール(削除)することです。
- 所要時間: 約5〜10分
- 前提条件: Windows 11に管理者権限でログインしていること
手順
- 「設定」を開く
スタートメニューから歯車アイコンの「設定」をクリックします。 - 「Windows Update」へ移動
左側のメニューから「Windows Update」を選択し、次に「更新の履歴」をクリックします。 - 更新プログラムの一覧を開く
画面を下にスクロールし、「関連設定」の中にある「更新プログラムをアンインストールする」をクリックします。 - 対象プログラムをアンインストール
インストールされている更新プログラムの一覧が表示されます。「KB5063878」という項目を探し、右側にある「アンインストール」をクリックしてください。 - PCを再起動
アンインストールが完了したら、PCを再起動して作業は完了です。
補足:アンインストールが失敗する場合
もしエラー(例: 0x800f0905)が出て削除できない場合は、「Windows サンドボックス」という機能が影響している可能性があります。「設定」→「アプリ」→「オプション機能」→「Windows のその他の機能」と進み、「Windows サンドボックス」のチェックを一時的に外してから、再度アンインストールを試してみてください。
アンインストール後は、問題が解決された新しい更新プログラムが配信されるまで、Windows Updateの「更新を一時停止」機能を使って、勝手に再インストールされるのを防いでおくとより安心です。
もし不具合が起きてしまったら
もし既にSSDが認識されなくなってしまった場合でも、データを救出できる可能性があります。
まず試すべきこと:PCの完全な再起動
まず試すべきはPCの完全な再起動です。一時的なエラーであれば、これだけでドライブが再認識されることがあります。
データ救出の重要性
それでも改善しない場合、ドライブは「RAWパーティション」というOSがファイル形式を認識できない状態になっている可能性が高いです。
警告:修復作業の前に必ずデータ救出を!
chkdsk コマンドなどでいきなり修復を試みると、かえってデータを完全に失う危険があります。まずは「TestDisk」などのデータ復旧ソフトを使い、別の正常なドライブに大切なファイルや写真を救出(コピー)することを最優先してください。コミュニティでもTestDiskによる復旧成功例が報告されています。データの救出が終わってから、パーティションの修復作業に臨みましょう。
まとめ
- 要点: Win11の更新(KB5063878)でSSD消失や配信アプリ不具合が発生中。対策はバックアップとアンインストール。
- 注意点: SSDの問題は物理故障ではなく論理破損。慌てて初期化せず、まずはデータ救出を試みること。
- 今後の予測: Microsoftから近いうちに問題を修正する新しい更新プログラムが配信される見込みです。公式情報を注視しましょう。
